top of page
執筆者の写真Bobson

凪待ち


どーも、先日玉ねぎたっぷりのカレーを作ったら、なんかずっと手が玉ねぎ臭いBobsonです。洗っても洗っても匂いが落ちない。。。

さて、先日、白石和彌監督、主演香取慎吾の映画「凪待ち」を見てきました。 いやあ、良かったです。

多少ネタバレありで感想述べていきますので、ネタバレ嫌いな方は、見るのをおやめください。

以下、あらすじです。

ーーーーーーーーーーーーーーー

毎日をふらふらと無為に過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓(西田尚美)の故郷・石巻に戻る決心をした。そこには、末期がんであるにも関わらず、石巻で漁師を続ける亜弓の父・勝美(吉澤健)がいた。亜弓の娘・美波(恒松祐里)は、母の発案で引っ越しを余儀なくされ不服を抱いている。 美波を助手席に乗せ、高速道路を走る郁男に美波の声が響く。 「結婚しようって言えばいいじゃん」 半ばあきらめたように応える郁男。 「言えないよ。仕事もしないで毎日ぶらぶらしてるだけのろくでなしだし…」 実家では、近隣に住む小野寺(リリー・フランキー)が勝美の世話を焼いていた。人なつっこい小野寺は、郁男を飲み屋へ連れていく。そこで、ひどく酒に酔った村上(音尾琢真)という中学教師と出会う。村上は、亜弓の元夫で、美波の父だった。 新しい暮らしが始まり、亜弓は美容院を開業し、郁男は印刷会社で働きだす。そんな折、郁男は、会社の同僚らの誘いで競輪のアドバイスをすることに。賭けてはいないもののノミ屋でのレースに興奮する郁男。 ある日、美波は亜弓と衝突し家を飛び出す。その夜、戻らない美波を心配しパニックになる亜弓。落ち着かせようとする郁男を亜弓は激しく非難するのだった。 「自分の子供じゃないから、そんな暢気なことが言えるのよ!」 激しく捲くし立てる亜弓を車から降ろし、ひとりで探すよう突き放す郁男。 だが、その夜遅く、亜弓は遺体となって戻ってきた。郁男と別れたあと、防波堤の工事現場で何者かに殺害されたのだった。 突然の死に、愕然とする郁男と美波――。 「籍が入ってねえがら、一緒に暮らすごどはできねえ」 年老いた勝美と美波の将来を心配する小野寺は美波に言い聞かせるのだった。 一方、自分のせいで亜弓は死んだという思いがくすぶり続ける郁男。追い打ちをかけるかのように、郁男は、社員をトラブルに巻き込んだという濡れ衣をかけられ解雇となる。 「俺がいると悪いことが舞い込んでくる」 行き場のない怒りを職場で爆発させる郁男。 恋人も、仕事もなくした郁男は、自暴自棄となっていく――

ーーーーーーーーーーーーーーー

・ストーリー

いやあ、見終わった時のまず初めの感想は、「やられた!」でした。

それは脚本に騙されたとかそういうことではなくて、割と近しいテーマでこの夏、公演を打とうと思っていたからです。

やりたいことが半分くらいかぶっています。。。

私の解釈なので、白石監督がどう思ってこの映画をつくったのかはわかりませんが、個人的には以下のように感じました。

なんかですね、最近人が死んで泣いて終わるような映画が多いなーってなんとなく思っていたんです。

大事なのは、人が死んでからじゃないかと。

生き残った者たちではないかと。

泣いてスッキリ終われたら苦労しませんよ。

ってな訳で、この映画では、亜弓の死後、郁男はまあ荒れに荒れます。

何度も周りの人の助けで立ち直る機会を与えられるんですが、それも毎回ダメにしてしまいます。

でもね、実際そうだと思うんですよ。

そんな簡単に大切な人の死からは立ち直れないと思うんです。

そしてそれを描く上で石巻(=震災)というデリケートな部分を絡めていくことも重要です。

これによって物語に深みが出ます。

深みの正体はここでは語りませんが、これを絡めるだけで、同じテーマでも見ている人の印象がグッと変わると思うんです。

石巻の情景シーンが度々出てくるのもそのあたりが関係しているような気もしました。

私はこの夏、やろうとしていたことでいうと、精神病棟というデリケートな部分を絡めています。そういう意味では、手法が似ているなーと思いました。

ちなみにその公演はこちらです。

(作風とかは全然違います。)

人が死んだ後を描くって結構、脚本家にとって辛い作業です。

書いている方も苦しくなってきますから。

キャラクターをすぐに救ってあげたいと思いつつ、いや、これだけでは救われるはずがないと葛藤するのです。

余談ですが、漫画の「NANA」でレンが死んで連載ストップしてますが、ここから先を描くのは作者にとっても相当苦痛だろうなぁと思うのです。

でも続きが読みたい!

読める日は来るのでしょうか。

あとストーリーでいうと、亜弓を殺した犯人が気になるわけですが、予想の範疇にはあったものの、それはやめてくれーと願ってたらそれになっちゃいました。

どこまでも救いがないです。

最後、亜弓が残していた婚姻届にサインして、それを海に流してエンドなんですが、これもいいですよねー。

個人的にはこの流れならバッドエンドでも良かった気はしますが。

冒頭で出てくるギャンブル仲間のわたなべさんが後半重要なトリガーになるのもよきです。

あとは葬式でちらっと出てくる組長とか。

・演出

白石監督といえばバイオレンス描写ですが、多少控えめなものの、相変わらず健在。

ヤクザの使い方も白石監督。

個人的には亜弓が死んだ時にかかる音楽と役者の表情のミスマッチ感がすごい好きだったのと、ちょっと酔いそうになるカメラワークが好きでした。

郁男の心情をぐにゃんとしたカメラワークで表現しているのでしょうかね。

エンドロールの演出も好きです。

・役者

香取慎吾さんは普段からちょっとやばい感じが出てますが、それが前面に出ててすごい良かったです。怪演ってやつでしょうか。

リリーフランキーさんは安定のリリーフランキーさん。さすが。

ただ最後のアレの動機がイマイチ掴めなかったです。最後の発言も意味深で……。

誰か考察してる人いないかなー。気になります。

吉澤健さんは前半あまりしゃべらないのですが、それでも存在感が強い。

一番泣かされました。

西田尚美さんは最近NHKのコント番組「LIFE」のイメージが強かったので、なんか不思議な感じでした。どシリアスですからね、この作品。

音尾琢真さんはマジでむかつきました。笑

でもそれが、後半ああなっていくのが…。それまでの描写的にそうなるもんなのかなーってちょっと疑問が残りました。(演技というか脚本ですね。)

印刷会社の郁男にボコボコにされる人とかいい具合に小物感があって好きでした。

ヤクザたちはみんな好き。これは白石監督の手腕なのですかね。

・ツッコミどころ

主に脚本上ですが、ツッコミどころ。

亜弓が死ぬ前からだいぶ郁男はクズなんですけど、どうして亜弓、勝美、美波なんかがあんなによくするのか理解できませんでしたね。

何か魅力があるんでしょうけど。わかりませんでした。

まあクズ男がモテるってのは多少あるからわかるとしても、勝美までが自分の命とも言える船を売ってまで、郁男に尽くすのがよくわかりませんでした。

郁男に度々お金が入ってきては競輪で散財するのですが、そこが少し都合が良すぎるなと。

みんないい人すぎません?

ギャンブル狂にまとまった金渡したらダメですよ本当に。

メインキャラクターが善人かクズかがすごい極端に感じました。

ヤクザが最後、お金を郁男に渡すんですが、そこも納得できない。

義理を通すにしても郁男は店をぐちゃぐちゃにしているわけですから、それは不問なのか、と。

またそのお金が手にはいる一世一代の大博打で50万賭けてかつ下りも、ドラマ的すぎるというか、都合がいいなあと感じてしまう部分でした。

・総評

正義感の強い、真面目な人には響かないかもしれませんが、郁男(クズ)に多少なりとも感情移入できる人にとってはかなり余韻が残る作品だったのかなーと思います。

私はだいぶ余韻が残りました。

こちらからは以上でーす。

0件のコメント

最新記事

すべて表示

万引き家族

どーも、ライトなマヨラー、Bobsonです。 さてさて、2018年第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」。早速見てきました。...

スリー・ビルボード

どーも、「駐輪場って値上がりするかね!?」でびっくりのBobsonです。 久しぶりに違う駅使ったら50円値上がりですって。なぜ? さて、見てきましたスリー・ビルボード。 予告編で気になってはいたんですが、前評判が超いいので観に行くことを決定しました。...

嘘を愛する女

どーも、どん兵衛は15分置いて食べる派のBobsonです。伸びきった感じが好きなんですよね。 さて、長澤まさみさん主演の「嘘を愛する女」を見てきました。 あらすじは以下の通りです。 ーーーーーーーー 食品メーカーに勤める川原由加利は、研究医である優しい恋人・小出桔平と同棲5...

bottom of page